ビスケットの缶

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音を消す

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 たとえば、音を消してみる。
テレビから流れてるコマーシャルやミュージックビデオの音をミュートにして見ると、さっきまでかっこいい、素敵、と思ってたものがあれ?と思うくらい白々しく見えることがある。逆に、音がないことでより輝きを増す世界観もある。
 ダンスは特にそれがはっきり表れるかもしれない。美しい、かっこいいダンサーは音を失った世界でも美しいしかっこいい。バレエも、ヒップホップも、ダンスに通じる和太鼓のパフェーマンスもそうだと思う。

 日常の景色からも、音を無くしてみる。錬金術のトリックや女性がメークを落とした時のように、何かで誤魔化していたものは輝きを失う。何か本当の姿を探すときは、音だけでなく何でもいいから何かを一つ取り出してそっと脇に置いてみるといいのかもしれない。するとさっきまで見てた世界が違って見える。大切なものだけが見える。日本の侘び寂びはそういうものなのかもしれない。
 本当に美しい人はジャラジャラと宝石を身につけないし、本当に強い人はたくさんの武器を身につけることなく心の内に目に見えない強さを持ってる。
 夜中、ベッドに入っていたらそんなことを思ったのでした。

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今日の羽生くん

2016年 グランプリファイナル エキシビション 練習


 華麗な衣装も、スポットライトも無い中でエキシビションの曲がけ練習をする羽生選手。音を消して見るとより美しさが伝わってきます。照明を落とした中で影絵のように浮かび上がる羽生くんのシルエット。しなやかなバレエダンサーのような動き、美しいビールマンスピンにはうっとりと瞬きを忘れます。アクセントのようにさらりと添えられる宝石のようなジャンプ。そこにはいろんなものをそぎ落として残る美しさがあります。気がつけば、さっきまでちらほらと練習していた他の選手たちもいなくなって、リンクサイドで見つめています。
 私は、このエキシビションのプログラムを初めて見た時、本番の華やかでフェミニンな白鳥の衣装に抵抗がありました。でも、この練習の風景を見てその美しさがわかるようになりました。ゆったりと静かな曲に、ジャンプはディレードアクセルジャンプとトリプルアクセルの二つだけ。それが何度も見るたびに、内面からこぼれるような美しさがじわじわと伝わってきて、見るほどに好きになるプログラムです。羽生くんの白鳥がたくさんの人を魅了するのがわかった瞬間でした。

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by cinnamonspice | 2018-05-24 19:31 | 今日のおやつ | Comments(0)

母の日

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 母になって14年。そんなに経つのに、なぜか年々母親業が下手になっているような気がします。
 初めての慣れない母親業にただただ一生懸命だった新生児のころ、よちよち歩きのころ、幼稚園のころ。あのころのほうが海のように大きくて深い、そんなお母さんらしかったように思えます。授乳をしたり、おむつをかえたり、子供と歌って笑って一緒にうとうと眠りそうになって、全力でお母さんをやっていました。出産から繋がって、世界でほかの誰にもできない仕事、という自負があったからかもしれません。
 子供が大きくなった今では、彼らが自分で生きる力もついて私がいなくても生きられるように。ティーンになる2人の男の子にとって今はお父さんのほうが彼らにもっと近いのかも。リレーのバトンをわたすように、今は親のバトンを父親のだんなさまに渡したような気持ちがしています。これからの母親としての仕事はそっと見守ることなのかな。

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母の日はリクエストでバターチキンカレーを作ってもらいました。
ロゼのスパークリングワインと。

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今日の羽生くん

2016年 世界選手権 SP ショパン「バラード1番ト長調」


 3シーズンにわたって演じられたバラード1番のショートプログラムは、シーズンごとにプログラム構成や衣装も変えられているのでそれぞれ別のものになっていますね。緩急のある美しいピアノの旋律と羽生選手の繊細な滑りがぴたりと重なって、私が羽生選手のプログラムで一番繰り返し見ている好きなプログラムかもしれません。(この間子供たちから、「羽生選手の1番好きなプログラムは?」と、酷な質問を受けたところ。笑)時に強く時にやさしく、繊細なジャンプ、スピン、ステップ、2分半という短い時間の中に、「繊細さと力強さ」の羽生選手の魅力すべてがぎゅっと詰まっている贅沢なプログラムは究極のショートプログラムなのだと思います。
 以前、羽生選手自身も呼吸するように演じることができるプログラムと話していましたが、曲をまとうように滑る様子が見ているこちらも何度見ても夢を見るように心地よいですね。見るたびに、羽生選手の体が音を奏でているようにも感じるような美しいプログラムです。
 2014-2015シーズンのものでは、世界最高得点を出したグランプリファイナルと悩みますがこの世界選手権のときのパフォーマンスがとても印象に残っています。この試合ですてきなのは、ステップ後半で羽生くんが音楽に乗って気持ちよさそうに笑顔で滑っている様子を見ることができるところです。精神的に錯綜していたと話していたこの試合ですが、この試合のいつもより力強いキレのあるステップに心が揺さぶられるような気持ちがします。
 羽生くんはこれまでもさまざなま試合で演技終了後素直なリアクションで魅せてくれていますが、この試合でも演技終了後、羽生くんが叫んだことでも有名な試合ですね。力を出し切ったからこそこぼれる素直なリアクションは、羽生選手が人を引き付ける魅力のひとつですね。
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by cinnamonspice | 2018-05-18 13:18 | まいにちのこと | Comments(0)

日常のきらめき

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 自然に行きたい、国立公園のような大きな自然に行きたい、小さなつぶやきが胸の中でグラスの底から立つ泡のように次々とこみ上げてきて困っています。夏休みまであと一か月と少し。お兄ちゃんと弟くんたちは目下学年末のテストの最中、そのあとお兄ちゃんのミドルスクールの卒業式があって…もうすぐのようで、まだまだのような一か月。
  少し前に、お兄ちゃんを小さいころから知るママ友達から、お兄ちゃんが声変わりした、と言われて、え?と思ったけれど、また別のママさんから同じことを言われて、本当に?と驚きました。まだまだ幼くて、まだまだ子供と思っているけれど。大きな湖の上にボートを浮かべてオールで漕いでいるような毎日だけど、子供の成長から少しずつ前に進んでいることを感じます。
 幸せも若さも手にしているときには気づかないものですね。14歳の憂鬱も、今思えば当時の私の目に映る世界の明度は今よりも倍も明るかったということ。今はその分あのころは180度位(いやもっと狭かったかも90度程度?)だった世界の視界が360度見渡せるようになったかな。お兄ちゃんの成長を見ていると、当時の自分と今の自分といろいろ考えたりします。なんだかまとまらない文章ですみません。

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今日の羽生くんメドベデワさん

2016年 グランプリファイナル SP "River Flows in You"

 メドベデワ選手の2016-2017シーズンのフリープログラムをご紹介しましたが、ショートプログラムもすばらしいものでした。
 プログラムはメドベデワ選手が誰かに写真を撮ってもらって、写真を見て笑いながら「スパシーバ!(ありがとう)」と言うところから始まります。部屋いっぱいに広げたたくさんの写真を踏まないように?ちょんちょんと歩くしぐさ、そこからその思い出に浸るようにスピンに入るところが美しく物語に引き込まれます。縄跳びをしているようなしぐさ、友人たちとふざけたりさまざまな楽しい日常を描くようなステップからははじけるような若さの輝きを感じます。そうしたきらきらとした日常風景が美しいピアノの曲と溶け込んで、初めて見たときは鳥肌が立つほど胸がいっぱいになりました。
中盤のトリプルフリップとトリプルトーループのコンビネーションのジャンプ以降は若さの憂鬱や不安、影の部分をジャンプとともにスピード感を上げながら描いているように感じます。最後の美しいスピンの後、風に写真が飛ばされてしまうようなしぐさで終わるラストはメドベデワ選手の表情からも悲しみではなく、明日への希望のようなものを感じます。プログラム全体から私が感じたのは日常の美しさや若さのきらめき、生きる喜びのようなもの。みなさんはいかがでしょうか。
 私がとても好きなのは真ん中ぐらいでジャッジの前をイーグルをしながら首を回すようなしぐさで通っていくシーン。けだるいようなしぐさだけど、すっと彼女の心の中に入っていくような美しい振り付けです。
 まったくよどみのない演技で、片手をあげてのジャンプなど難しいジャンプもちりばめているのに、それらもすっかり物語に溶け込んでいるメドベデワ選手の2016-2017シーズンのプログラムは、ショートもフリーも人生を描いているように感じて、どちらもとても深みのある心に残るプログラムです。

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by cinnamonspice | 2018-05-05 09:26 | 今日のおやつ | Comments(2)

Extremely Loud & Incredibly Close

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 ふう、とひと呼吸したら一年の1/3が過ぎていました。
今年はゆっくりと春がやってきていて、余計に時間の流れがわからなくなっています。

 最近読み始めた本”Extremely Loud and Incredibly Close”は、ロシアのフィギュアスケーター、メドベデワ選手の2016-2017シーズンのFSの演技を見て、興味をもって手に取りました。今はお兄ちゃんと一緒に競争しながら読んでます。(もちろんとっくに追い越されましたが。笑)
 最初の2章を読むまでの間に、主人公とお父さんやお母さんとのなにげない会話や主人公少年の心の繊細さにほろりとするシーンが何度もありました。お父さんとお母さんとのやりとりは、心地よいブランケットにくるまっている時のような感覚に胸を締め付けられます。
 読んでいるうちに、主人公のオスカーがライ麦畑のホールデンと重なるように思えてきました。二人の年齢はだいぶ違いますが、大切にしているもの、ピリピリととがったような心の感覚がとても似ているように思えます。この本の主人公のオスカー少年は、9歳という年齢にに対して知識や言葉がとても豊かで、そのために大人からは時に眉をひそめられるような言動をしてしまったりするところもホールデン少年と似ています。9.11のアメリカの同時多発テロ事件でお父さんを亡くしてから苦手になったもののリストや、「学校に行けない」とお母さんに言った朝、病気なの?と尋ねるお母さんに、病気ではなくあらゆることが悲しいからと指で数えながら教える悲しいもののリスト。美しい歌も悲しいと言うオスカー少年によると「なぜなら、それ(歌の中の世界)は本当ではないから。」それは、ホールデン少年がサリーに電話をしてサリーが最後に添えた”Grand(ご機嫌ね)”という言葉にうんざりしてしまうような感覚に似ているのかもしれません。
 また、読んでいるうちに、ふと弟くんのことを思い出しました。ある日突然、日本の鉄道ミュージアムでもらった運転士の白い手袋の片方だけをはめて学校から帰ってきたり、古いテニスボールを学校で拾って何度注意しても大事にしていたり。そういう弟くんについ、なぜ?、どうして?と眉をひそめて叱ってしまっていました。いつの間にそういう大人になってしまっている自分に気づかされる思いがして目の奥が熱くなりました。オスカー少年のお父さんはオスカーくんのひとつひとつの言葉を両手でそうっと包んであげるようなお父さんで、そのやさしさに胸がいっぱいになります。お父さんはオスカーくんに、こう言います。「親はいつだって子供より知識を持っているものなんだ、でも子供はいつも親よりもかしこいんだよ。」
 亡くなったお父さんの遺品から見つけた謎の鍵を手に、まだまだ始まったばかりのオスカー少年のお父さんの秘密を探す旅。私も英語に四苦八苦しながらもなんとか読み終えられたらいいな、と思います。


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今日の羽生くんメドベデワさん

2017年 ヨーロッパ選手権 FS ”Extremely Loud & Incredibly Close”


 平昌オリンピックでは銀メダルになったエフゲニア・メドベデワ選手の、2016-2017シーズンのフリープログラム。
静かだけど、物語にあふれるプログラムを初めて見たとき、とても心を打たれて強く印象に残りました。
 誰かを見送りに(お父さんかな)駅に行くところから始まるプログラムは、まず見る人を物語の中へ引き込みます。
中盤の町の喧騒、人の話声、サイレン、叫び声、その中をステップを踏むメドベデワ選手。目に見えないNYの町の蒸気、車や消防車、人混みが目の前に映し出されるように見えてきます。人の波に流されるようにくるくるとステップを踏むメドベデワ選手、逃れられない運命や悲しみに飲み込まれていく様子が表現されるように感じました。そうした現実をぴたりと音楽に合わせたトリプルループジャンプで場面が転換されます。後半の鮮やかで美しいジャンプの連続のシーンはオスカー少年、もしくは誰かの心の中の旅なのかもしれません。誰もが悲しみや心の波を抱えていてそれを乗り越えようと生きている。
 最後美しいビールマンスピンの後、電話の音がなりメドベデワ選手が受話器を取るところでプログラムは幕を閉じます。電話は誰からなのか、いい知らせなのか悪い知らせなのか、メドベデワ選手の表情からはわからないところで終わります。振り付け師のイリヤ・アベルブフはそれは見た人にゆだねたいという思いで振り付けたのだと聞きました。映画のサウンドトラックをもとに作られたプログラムですが、物語に忠実にではなく日常に潜む避けられないものやるかたないもの(確かそんなことを言っていたと思います。)を描いた作品なのだそうです。生きる悲しみ、喜び、さまざまな感情が表現されているように感じて、プログラムを見てとても共感するものがありました。
競技ということを忘れさせる圧倒的な物語を演じるメドベデワ選手の演技とプログラムは羽生選手と重なる部分があるように思えてとても好きなプログラムです。


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by cinnamonspice | 2018-05-01 16:04 | | Comments(2)

アスリートの気持ちで

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だんなさまの誕生日にはリクエストでティラミスをGiadaさんのレシピで。この日は残り物でおやつ。

 羽生結弦選手の本「夢を生きる」という本を読んでいます。インタビューをもとにおこしている本なので、シーズンごとの一戦一戦を戦う様子がその時々の息遣いを感じるように伝わってきます。プログラム作りの苦悩、喜び、本番の緊張感。一番伝わってくるのは、どの一戦も、本当に血のにじむ思いで戦っている羽生選手の姿です。体だけでなく、心とのバランス整えながらノーミスをめざして戦う難しさ。
 羽生選手が怪我を抱えて戦うのは今回の平昌オリンピックだけでなく、2012年の世界選手権のときから(もっと前からかもしれませんんが)だったようですが、怪我との付き合い方の難しさも感じます。完全に治して戦うのが理想ですが、現役でいるということはなかなかそうはいかないことも知ります。例えば羽生選手は2016年の世界選手権後、左足の怪我でドクターから二か月の安静を言われ、スケートもできずじっと家にこもってすごしていたそうです。その間の焦燥感や心の葛藤も計り知れないものがあります。そして二か月後には、ブランクでまた一から積み木を重ねるように一回転のジャンプの練習から始めたというエピソードを聞くと、4回転ジャンプを跳ぶ羽生選手でもそこから始めるのかと、読んでいるこちらも歯がゆい気持ちになります。そうした見えない努力や不安を乗り越えて、私たちが見る試合という舞台では何事もなかったようにさらりと4回転ジャンプを跳んでいることを知ると、アスリートとしての魂に胸を打たれます。調べてみると、プルシェンコやヤグディン選手をはじめ、今は引退した伝説的なフィギュアスケートの選手たちの多くも、怪我を抱えながら戦っていたことを知ると、現役でいることの難しさを感じます。それでも引退して振り返ると、苦しみながらも現役で戦い続けていた時代が一番輝いていたときなのだと感じるものなのかもしれません。採点されたり順位を付けられることのない自由さと引き換えに失うものの喪失感は、スポットライトからはずれるような感覚なのかもしれません。フィギュアスケートのプルシェンコ選手は引退を二回撤回して、3回目の引退宣言の2017年に引退したのだそうです。
 私は羽生選手のように試合に向けて血のにじむような練習や身体的な怪我やプレッシャーがあるわけではないけれど、現役で戦い続けることという意味で子育について同じようなことを義母に言われたことを思い出しました。家族のいない海外でだんなさまと二人泣いたり笑ったり子育てしている私に、「大変だと思うけど、そうやってわーわーやっている時が一番楽しいのよ、今を楽しんで。」とにっこり笑いながら義母が言った言葉。それは子育てという舞台から下りた義母の心からの言葉でした。子育ては毎日が戦いのように感じるときもあります。でも、残念ながら母親業はアスリートの方たちのように試合ごとに結果が出て、表彰されることがないのがつらいところ。一人家にいてのんびりしていると、子供たちと一緒に過ごせる時間は実は限られているのだと、しみじみ思えるときもあるけれど、いざ子供たちが帰ってくるとやっぱりローラーコースターに乗っているように一日が過ぎてしまうのが現実です。そんな日々も現役のアスリートの気持ちで。今日も母親業を現役で戦っているときが幸せなのだと心の片隅で思いながら。

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今日の羽生くん (個人が過去の試合を振り返ります。)

2014年 グランプリファイナル FS 「オペラ座の怪人」

 2014年、11月初めグランプリシリーズの中国杯で中国選手との衝突事故で大けがをした羽生選手は日本へ帰り怪我の治療のため10日間ほど動けない日々をすごします。事故から約二週間後にはNHK杯が控えていて、ぎりぎりまで出場を悩み最終的には体調も万全でなくほぼ練習ができない状態で出場し4位となり表彰台を逃し、出場選手の中で最下位の6位でグランプリファイナルへと出場します。不調だったNHK杯からわずか2週間後に迎えたグランプリファイナルでは見事ショートプログラム1位、そしてこのフリースケーティングでも1位になり優勝します。衝突事故から一か月もたたないうちでのグランプリファイナルでの見事な演技の影にある想像を絶する努力と情熱を、羽生選手とともに感じた会場の人々の感動の大きさも伝わってきます。

 さまざまな出来事があったシーズンの思いがめぐるフリーの「オペラ座の怪人」のプログラムですが、このプログラムで特に感動するのは曲とジャンプのタイミングがこれ以上ないほど見事に似合っているところ。羽生選手はどのプログラムでもジャンプが曲と合うようにジャンプまでのステップ等をカウントして覚えているそうですが、そうして綿密に作られたプログラムの中でも特にこのプログラムのジャンプ(最初の4回転サルコー、二番目の4回転トゥループ、終わりのほうのトリプルアクセル、1ループ、トリプルサルコーの3連続!)が音楽とともに劇的な演出をしてより一層感動を引き立てます。また曲の編曲もすばらしく、ファントムの息遣いとセリフから始まる冒頭も観客の心を掴む衝撃があり、そこからよどみなく物語が進んでいくところも魅力です。ファントムの力強さを象徴するようなジャンプと中盤のバイオリンに合わせたファントムの悲しみを表しているステップとのコントラストも印象的です。
 羽生選手の演技を見て、解説の人がよく"inspirational"、と言うけれど、後半のトリプルアクセル、トリプルトゥループのコンビネーションジャンプの後の解説のジョニーウィアーさんの美しい詩的な表現も心に残ります。この演技を見たイギリスの解説のサイモンさんは、「羽生選手は年単位ではなくて、世代単位で最高のスケーター」と興奮気味に語っていました。同じ試合をいろんな放送局の解説で聞くのもそうした解説者の臨場感ある感動的な言葉を聞ける楽しみがあります。

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by cinnamonspice | 2018-04-27 09:30 | 今日のおやつ | Comments(0)

Hunter X Target

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春、お買い物が楽しい季節ですね。ちょこちょことお買い物をしました。
HunterとTargetのコラボは知ったときには欲しいものはほとんど売り切れでしたが、自分用にはバッグを、お兄ちゃんと弟くんにラッシュガードとTシャツなどを買いました。去年のビクトリアベッカム、その前の年のマリメッコもそうでしたが、Targetとブランドのコラボは商品のクオリティもいいのでお買い得です。
今回のコラボも春夏にぴったりな元気が出るような色合いの商品も多くて、見ているだけでもわくわくする品物がいろいろでした。その中で私には珍しくオレンジ色のバッグを手にしました。ゴム製なので、ビーチタオルや水着を入れてビーチやピクニックに出かけるときに便利そうです。
自然へ出かけるのが楽しみです。
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今日の羽生くん (個人が過去の試合を振り返ります。)

2014年 中国杯 FS「オペラ座の怪人」


 羽生選手がソチオリンピックで金メダルを取って最初のシーズン、羽生選手とハン・ヤン選手の衝突事故があった2014年の中国杯の試合。羽生選手という人を知るうえで欠かせない衝撃的な試合です。
衝突事故はフリープログラムの試合直前の6分間練習で起きました。(羽生選手はあごを7針、頭を3針縫っただけでなく、足もねん挫等の大変な怪我を負いました。)
衝突の衝撃で氷上に打ち付けられた羽生選手。息ができずすぐに起き上がれずに練習は中断されます。しばらくして、顎から血を流して起き上がった羽生選手は医師たちにより脳震盪等がないか確認をしたのち、応急処置で頭に包帯を巻いた姿で現れます。そして、試合に出たいという羽生選手の意思で、再びリンクに戻りフリーの演技をしました。
 大きな事故のすぐ後で、青ざめた表情のままリンクに向かう羽生選手を張り詰めた面持ちでブライアン オーサーコーチがほとんど言葉もなく見送るところからは二人の信頼関係を感じます。試合中、ただ今この試合に出たいという強い意志とともに、ジャンプで5度転倒するもののそのたびに起き上がり試合を続ける羽生選手の姿は、プログラムのオペラ座の怪人の姿と重なり鬼気迫ります。そのなかで、ジャンプやスピン、ステップ、ひとつひとつのエレメンツを戦う羽生選手の姿からアスリートの魂を感じて、見る人の心を強く揺さぶる演技です。
 
 全力を尽くした演技を終え、kiss and cryでブライアン オーサーコーチと一緒に得点を見た羽生選手が、感極まって声を上げて泣くシーンは見ているこちらも胸が詰まって目の奥が熱くなります。羽生選手はこの試合で2位になり、この試合で結果を出したことでグランプリファイナルへの進出が決まります。


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by cinnamonspice | 2018-04-25 13:11 | おかいもの | Comments(0)

犬が島

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 やっと、見たかったウェス アンダーソンの映画「犬が島」見てきました。
なめらかなCGのアニメーションが主流な今の時代に、ストップアクションアニメーションの間合いとシュールな世界観がなんともいえない味わいがあってすてきでした。
 笑わない犬たちの眼、BGMの太鼓の音、日本語のイントネーション、すごくいいですね。主人公のアタリくんの声、とっても好みです。
 日本語を話す人間と英語を話す犬たち。ときにアタリくんの長い日本語のセリフも英語の字幕なしなので、アメリカ人の人はどんな風にうけとめたのかな、と思いますがそういうチャレンジな感じもすごく新鮮です。何から何まで訳してしまうより、言葉のイントネーションから観客たちが想像するのも世界観を理解する上ですごくいいんじゃないかなと思います。バイリンガルのお兄ちゃんと弟くんは、きっと私たち以上に犬と人間と両方の世界を理解して楽しんだのだと思います。いつもはアメリカで映画を見ていると、みんなより遅れて笑ったり、笑いがわからないこともある私たちが、この映画では人間たちが話す日本語で先に笑えたりアメリカ人にわからない部分で笑ったりできる優越感もちょっとうれしくもありました。
 真面目でちょっと抜けている犬たちが実に犬らしくて、愛嬌があります。押しつけがましい動物愛護的なメッセージもなく、純粋に犬の目線を楽しめる、すごくいいなと思います。そして、なんと言ってもウェス アンダーソンならではのヴィジュアルの世界観。古くて新しい、すごく不思議な世界観を見事に表していて、そこここにちりばめられた日本語や日本のシュールなおもしろさにクスクス笑いがこみ上げて楽しめます。本当に日本のことをよく見てる。
 豪華な声優陣に、この人がオノ・ヨーコ!、この人が渡辺謙なの!と発見も楽しめます。
 最近アメリカの映画はリバイバルやシリーズものなど新しいものを感じなかったので、すごく刺激的でインスピレーションをもらう映画でした。
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今日の羽生くん (個人が過去の試合を感想とともに振り返ります。)

2014年 世界選手権 FP 「ロミオ&ジュリエット」


 羽生選手のフリーのプログラムはいつも流れるような(ジャンプの助走で途切れることなく)物語があって、演劇を見ているような気持ちになります。 旧ロミオ&ジュリエットが若さのエネルギーや純粋さを表しているとしたら、この2013-2014シーズンの新ロミオ&ジュリエットはロミオの喜びや深い悲しみの心の内側に光を当てた作品のように思います。
 羽生選手のプログラムの魅力の一つは、(長い助走を必要としないので)ジャンプがプログラムの物語の中に溶け込んでいるところ。 冒頭の二つの力強い4回転ジャンプは、ロミオの情熱的な内面やこれから起こる悲劇を象徴するようですし、中盤のふわっと鳥が舞い降りるような繊細なコンビネーションジャンプは優しく包み込むような愛情を、それぞれジャンプだけでも心情が伝わってくるように感じます。私が好きなシーンは、プログラムのちょうど半分あたりのトリプルループの後の羽生選手が顔を覆うような仕草をするシーン。何気無い振り付けですが、羽生選手の手や首の傾げ方や表情からジュリエットへの深い愛と苦悩が伝わってきて胸が締め付けられます。
 羽生選手のプログラムのもう一つの魅力の美しい楽曲の編曲は、暗雲が立ち込めるような劇的なスタートから始まり、2人が出会い幸せな時間を過ごす有名なメロディー、そして悲劇的なラストへといざないます。物語のアクセントとなるジャンプ、表現力、美しい楽曲、美しいスピン、濃厚な4分半は見応えがあってあっという間に過ぎます。
 この動画の、ソチオリンピックで金メダルを取った直後の2014年の世界選手権の試合で、羽生選手はショートプログラム3位からの逆転優勝を遂げました。(この動画で、試合後解説のサイモンさんも逆転があるかもと興奮気味なのもそういう理由です。)グランプリファイナル、オリンピック、世界選手権の3タイトル制覇は史上2人目という快挙となる大会でした。


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by cinnamonspice | 2018-04-22 05:41 | まいにちのこと | Comments(2)

CWW

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昨晩はフィギュアスケートの羽生結弦選手の凱旋公演Continues With Wingsのライブ中継でしたね。
CAでは夜9時からの放送、昨日はテレビの前に釘付けでした。
みなさんご覧になりましたか。
3日間のそれぞれの公演で、羽生選手が過去のプログラムの衣装を着て滑った古いジュニア時代からのプログラムのメドレーが本当にすばらしかったですね。今まで何度も動画で見ていた小さな羽生くんの演技を、大人の羽生くんが演じているのはとても不思議で、とてもすてきでした。(当時の衣装が着れるというのもすごい!)同じ演技もキレのある今の羽生くんが演じると新鮮でした。何より昔のプログラムを演じる羽生くんがとても楽しそうで胸がいっぱいになりました。
生中継なので、製氷の間に3日間すべてのメドレーを見れて感動でした。
みなさんはどれがよかったですか。やはり旧ロミオ&ジュリエットの衣装の羽生選手には当時の羽生くんが重なって目の奥が熱くなりました。最後の指を突き上げる鋭い視線まで再現してくれていましたね。(笑)スケートを滑っている時の羽生選手の目がすごくすてきですね。
改めて見ていると、羽生選手のプログラム曲はどれも始まりがドラマチックでかっこいいなと思います。Sing Sing Singやミッションインポッシブルも始まりがかっこいいですが、振り付けも今の羽生選手のバージョンで見るとジュニアの時代とは思えないほど大人っぽくて、魅力的でした。
 羽生選手が尊敬するスケーターたちの熱演もすばらしくて感動的でした。特にプルシェンコさんのソチオリンピックで見られなかった幻のプログラムや「ニジンスキーに捧ぐ」は、羽生選手と同じく指先や目などから伝わる気迫が本当にすばらしくて胸にさしせまるものがありました。引退していることを忘れるようなジャンプも美しくて、ステップやひとつひとつにとてつもないオーラ、迫力がありました。皇帝としてのプライド、威厳、そういうものを感じました。
 挙げたらきりがありませんが、どのスケーターの方もそれぞれの哲学があって、最後のフィナーレまでとても感動的な夜でした。フィナーレの羽生くんのソロのパートは最終日一番の鬼気迫るほどの美しいパフォーマンスでした。
そして迎えた最後の挨拶のときの羽生選手の言葉は、今も胸に突き刺さっています。うまく言葉にできないけれど、「今は生きててよかったな、と思います。」と言う羽生くんの言葉が全てなのだと思います。
もう少し現役を続行するという羽生選手の思い、ぜひこれからも私たちにスケートで夢を見せて欲しいですね。
すみません。今日は完全に羽生選手のファンとして書かせてもらいました。

追記、
3日間の公演を5/10、11、13にテレビ朝日チャンネル2でしてくださるという話があるみたいですね。そちらもたのしみです


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by cinnamonspice | 2018-04-16 08:53 | すきなもの | Comments(0)

王様気分

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少しずつ春めいてきました。
桜がないCAで、春をつかむのは難しいですが、木々からこぼれる日差しや、鳥の声や店先の色とりどりの花々に春を感じます。

去年の秋に購入したソファベッドの背もたれの部分がうまくはまっていなかったので、修理をお願いしていたのですが、やっと連絡が取れて一週間入院して帰ってきました。入院で修理して戻る予定でしたが、結局新品と交換になって帰ってきました。イソップ童話の「金の斧、銀の斧」のようなお話です。中古が新品に、秋の話が春に、どちらもアメリカあるあるです。一週間のソファなしの生活でしたが、帰ってきてみるとソファがあるってすばらしい。ささやかなソファでたちまち王様のような気分です。

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今日の羽生くん (個人が過去の試合を振り返ります。)

2012 GPシリーズフィンランディア杯 「ノートルダム・ド・パリ」



 羽生選手にはいくつもの伝説的な試合があるのですが、この試合もそのひとつとして有名ですね。
 日本からカナダに移った、羽生選手の2012-2013のシーズンは体調不良もあったりとても苦しい年であり、大きなステップを上がったシーズンです。
 特にフリープログラムの「ノートルダム・ド・パリ」は4回転ジャンプを二つ含むさらにプログラムのレベルが上がったこともあり、体が華奢で当時まだ若くスタミナがなかった羽生選手が特に後半苦しそうに滑っている印象があります。この試合のあとの全日本選手権やグランプリファイナルの試合のすばらしい演技もありますが、私個人では、喘息の体調不良などがあるなかで出場したというこのフィンランディア杯の、最後のシーンで倒れこむ姿がとても衝撃的で、このシーズンを象徴する演技のように思えて強く印象に残ります。
 この動画では倒れこむ瞬間のシーンが切れていますが、別の角度で撮ったものをほかの動画で見ると、貧血か酸欠のような状態で一瞬意識を失うように羽生選手の体ががくっと二つ折りになってリンクに前傾姿勢で倒れこむ様子が映っています。そのあと仰向けになって呼吸を整え、体をかえして起き上がる様子は傷ついた野生のヒョウのような美しさがあって強いインパクトがあります。(立ち上がったあともよろめいていますね。)苦しい体調の中(滑っているときはそんなことは感じさせませんが)スピンやジャンプ、振り付けひとつひとつ丁寧に最後まで滑り切る姿は人々をひきつける力があり、最後の倒れるシーンでは言葉にならない衝撃を与えます。別の動画で当時のフィンランド語版の中継でも、中継の人が「羽生選手には人を引き付ける何かがある」と話していましたが、その魅力は国を超えたものなのだと納得しました。そうした演技で、羽生選手はこの大会で優勝を飾ります。この試合は、自分の持っているものをすべてを出す羽生選手のスケートに向かう姿勢を示すものにも思えて、強く印象に残る試合です。
 羽生選手はこのあとの全日本選手権では、ベテランの高橋大輔選手を破り初優勝をした年でもあります。苦しいシーズンでしたが、大きな山を越え羽生選手の世界が大きく変わった年だったのですね。


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by cinnamonspice | 2018-04-15 06:22 | まいにちのこと | Comments(0)

小さなバースデーケーキ

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お仕事を一緒にしている先生のお誕生日に小さなバースデーケーキを焼いてプレゼントしました。
みんな大好きな先生なので、きっと今日はいろんな方からプレゼントをいただくと思い、小さなケーキに思いを込めて。
チープかわいいお皿にフォークを添えて(クリームなしで)すぐに食べてもらえるようにしました。

一か月ほど前、風邪をひいたあと3週間以上咳が止まらなかったので、病院で抗生物質をもらって飲みました。するとその翌日、副作用ではげしい腹痛があり結局服用を途中でやめたのですが、そのあたりから数日間食欲がなくなって食事が食べられない日が続きました。食いしん坊の人生にそんな日がくるなんて、その時は自分のことながら信じられなくておどろいたのですが、その数日は、お水を飲むのがやっとで何を食べてもおいしくなく、とまどう日が続きました。その後、少しずつ食べられるようになり、今は全快したのですが、よくなった今振り返ると、あの食欲不振も抗生物質の副作用だったように思います。薬の箱には副作用として、腹痛、味覚障害、精神不安などが書かれていたのですが、そのすべてがあてはまってしまったようでした。食欲がないので、お菓子も作る気力もなく、食べることもできない日々はとても不毛で、食欲と同じようにいろんなことの興味がなくなってブログやインスタグラムなどからも遠ざかっていました。結局、そうした一連のことがその薬のせいと示す明確な証拠は何もないけれど、点と点をつないでみると、一つのところにたどり着くように思います。その薬のおかげで咳は止まったけれど、悪い菌を殺すのに受けたダメージ大きく感じます。
今はやっとお菓子を作る気持ちもできて、こうして誰かにプレゼントして喜んでもらえるのは何よりの喜びです。
おいしく食べられるって本当にすばらしい。嵐が去って、気づくことがいろいろあります。

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今日の羽生くん (個人が過去の試合を振り返ります。)

2016 グランプリファイナル "Let's go crazy"


 2016-2017シーズン、フリープログラム"Hope & Legacy"に対して、ショートプログラムはプリンスの"Let's go crazy"でした。オリンピックシーズンをクレイジーに行こう、という意味で選ばれたというプログラムはノリノリのロックなもの。
 羽生選手と同じクリケットクラブでしのぎを削ったハビエル・フェルナンデス選手が、以前どこかで理想のスケートとして「難しいことを簡単にやること」と、話していたと聞いて彼のエキシビションの演技を見たとき、すとんと何か胸に落ちるものがあったのですが、この羽生選手のプログラムもまたそうなのだと思います。ノリノリで、楽しそうに、でも実はとてつもなく難しいプログラムをする、こんなかっこいいことはないと思います。
 スコアの面だけでなく、この大会のときの羽生選手がとても楽しそうで、特に後半のとてつもないトリプルアクセル以降のスピン、ステップとどんどんスピードが増していくシーンでは、「純粋にスケートを楽しむ」というキーワードで見ている観客と羽生選手がつながっているように感じます。ただひたすらにかっこいい。見るたびに、こんな風にスケートを滑れたらどんなに気持ちがいいだろう、と思わせてくれるパフォーマンスです。
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by cinnamonspice | 2018-04-13 14:11 | 今日のおやつ | Comments(2)