ビスケットの缶

2018年 05月 24日 ( 1 )

音を消す

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 たとえば、音を消してみる。
テレビから流れてるコマーシャルやミュージックビデオの音をミュートにして見ると、さっきまでかっこいい、素敵、と思ってたものがあれ?と思うくらい白々しく見えることがある。逆に、音がないことでより輝きを増す世界観もある。
 ダンスは特にそれがはっきり表れるかもしれない。美しい、かっこいいダンサーは音を失った世界でも美しいしかっこいい。バレエも、ヒップホップも、ダンスに通じる和太鼓のパフェーマンスもそうだと思う。

 日常の景色からも、音を無くしてみる。錬金術のトリックや女性がメークを落とした時のように、何かで誤魔化していたものは輝きを失う。何か本当の姿を探すときは、音だけでなく何でもいいから何かを一つ取り出してそっと脇に置いてみるといいのかもしれない。するとさっきまで見てた世界が違って見える。大切なものだけが見える。日本の侘び寂びはそういうものなのかもしれない。
 本当に美しい人はジャラジャラと宝石を身につけないし、本当に強い人はたくさんの武器を身につけることなく心の内に目に見えない強さを持ってる。
 夜中、ベッドに入っていたらそんなことを思ったのでした。

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今日の羽生くん

2016年 グランプリファイナル エキシビション 練習


 華麗な衣装も、スポットライトも無い中でエキシビションの曲がけ練習をする羽生選手。音を消して見るとより美しさが伝わってきます。照明を落とした中で影絵のように浮かび上がる羽生くんのシルエット。しなやかなバレエダンサーのような動き、美しいビールマンスピンにはうっとりと瞬きを忘れます。アクセントのようにさらりと添えられる宝石のようなジャンプ。そこにはいろんなものをそぎ落として残る美しさがあります。気がつけば、さっきまで練習していた他の選手たちもリンクサイドで見つめています。
 本番の華やかな白鳥の衣装でのパフォーマンスは見たことがあったけれどこの練習の風景を見てその美しさがわかるようになりました。ゆったりと静かな曲に、ジャンプはディレードアクセルジャンプとトリプルアクセルの二つだけ。それが何度も見るたびに、内面からこぼれるような美しさがじわじわと伝わってきて、見るほどに好きになるプログラムです。羽生くんの白鳥さんがたくさんの人を魅了するのがわかった瞬間でした。

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by cinnamonspice | 2018-05-24 19:31 | 今日のおやつ | Comments(0)