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ビスケットの缶

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母が贈ってくれた本から、ワンピースを作りました。
目を閉じたときの暗闇のような黒。
心地よい音に出会いました。
かた、かた…という固い木がコンクリートにあたるような乾いた音。
どこかで聞いた涼やかで懐かしい音、と心の中へ探しに下りて見つけたのは、夏に耳にする下駄の音でした。LAの地でまさか、と思って振りかえると、すらっとしたアフリカ系のアメリカ人の女性がとおり過ぎていきました。一瞬のことだったのでよく見えなかったけれど、もちろん下駄ではなく恐らく木のサンダルだったような…。でもその音に出会えたおかげで、その後も心の中に日本の夏の夕暮れの気持ちのいい風を感じて幸せでした。
「音」というと、こちらでも時折放送されているNHKのBSの「音紀行」という番組は好きな番組のひとつ。ナレーションの代わりに文字と映像が映し出されて、ただ静かにその音を楽しむという番組。見るたびに心をが清められるような、宝石のような音に出会える番組なのです。とても短く番組と番組の合間に放送されるので、いつも見られるわけではないのが少し残念なのだけど。
これまでに紹介された音の中でも「沖縄 竹富島の朝の音」として、この島の人々が早朝、珊瑚で作られた白い道を箒で掃き清めるサリ、サリ、サリ、という心地よい音、長野県の北八ヶ岳の山を通る雨の音など、どれも心の中に「音の博物館」を作って保存しておきたくなるくらいすてきな音でした。黒い夜空の闇にきらきら浮かぶ星のように、目を閉じて耳をすますと、私たちのまわりのすてきな音が聞こえてくるのかもしれません。そんな一粒の宝石のような音に会えた瞬間、心の中に灯りがともるそんな気がします。
by cinnamonspice | 2008-07-23 08:58 | ひとつだけのもの