ビスケットの缶

繋がる

 
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 羽生くんの厳しい砂漠期(クリケットクラブで練習に打ち込む時期)、みなさまいかがおすごしですか。
 2020年の東京オリンピックパラリンピックの開閉会式の総合統括に野村萬斎さんが就かれるそうですね。
それで思い出して、2015年の羽生選手との対談の動画を見ました。とても充実した濃い内容の対談ですね。いろんなものの点と点がつながるような爽快な体験でした。この対談は、羽生選手が「SEIMEI」のプログラムを演じるにあたって、野村萬斎さんにお会いしたい、と申し出て実現したようですね。
 私の印象ですが、野村萬斎さんは相手の心を読むような、試すような鋭いまなざしをお持ちの方ですが、その懐に飛び込んでいくような羽生くんの真剣さや純粋さに、次第に萬斎さんの表情が和らいで笑顔がのぞくようになるのが印象的でした。羽生くんの本気で学ぼうとする姿勢に、途中から萬斎さんはうれしそうに答えていましたね。なんだか見ていると萬斎さんがヨーダのような仙人のように見えてきました。でも不思議とお二人が似ているようにも思えてきます。萬斎さんも羽生くんも自分の道を究めようという強い情熱をもつところも似ていて、そういう人は相手へのリスペクトがあるんですね。
 萬斎さんの言葉ひとつひとつはとても深くて、狂言という知識がなくてもわかるようにとてもわかりやすくて勉強になります。萬斎さんは大学で講師もされていて、狂言の世界を目指すわけではない普通の若者たちにどうやって心に残る、ためになる狂言の知識を伝えられるかを考えてお話されているのだとか。だから難しそうなお話もこんなにわかりやすいのかと納得しました。
 動きのお話で進行方向と反対方向に動いてから進むことで次の動きを印象付ける逆のベクトルの作用のお話や、無音のジャンプと音を立てるジャンプの話など「引き」の演技のお話などは羽生くんもすごく引き込まれている様子でしたし、「型」の話も、狂言の型はフィギュアスケートの振り付け(シーズン通じて同じプログラムを演じ続ける意味でも)にも通じるというお二人の話も興味深く感じました。
 最後に、「記憶に残る演技」を目指す(それがすなわち結果にもつながる)ときに必要なこと、という羽生くんの問いかけに対して、精神性が大切になるのではないか、としたうえで、場を支配するためには、場を味方につける、「場と時間、空気をまとう」(その場、空気を味方につける)という萬斎さんの言葉たからもののような言葉でした。そして羽生選手はそれにこたえるように、実際にその後の2015年のNHK杯やグランプリファイナルで世界最高得点を出した演技や今年の平昌オリンピックでの演技でも実践されていたように思います。狂言という舞台とアイスリンクという舞台とそれぞれ舞台は違えども、魂と魂で対話するいい先生にいい生徒、という印象のお二人がとても好感のある対談でした。繰り返してみたい素晴らしい内容ですすね。
 羽生くんは、いつも「SEIMEI」のプログラムについて語るとき、必ず萬斎さんへの感謝について触れますが、この対談を見て、萬斎さんとの対話を経て羽生くんの「SEIMEI」に魂が吹き込まれたのかもしれないと思うと、羽生くんの感謝の気持ちの大きさが伝わる気がしました。
 2015年に羽生くんが映画「陰陽師」の曲を選んだことにより、安倍晴明という歴史上の人物にスポットライトがあたり、それにより野村萬斎さんとのご縁が結ばれ、羽生選手の世界最高得点につながり、平昌への金メダルへと導かれ、そして今回の野村萬斎さんが2020年の東京オリンピックの総合統括につながる一因になったのかと思うと、良縁が点と点で、でも必然的に結ばれてきたような気持ちがしました。きっと日本の表面だけでなく精神も反映されたすばらしい開会式、閉会式になるのではとますます東京オリンピックが楽しみですね。

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今日の羽生くん

2015年 野村萬斎×羽生結弦 対談
 

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by cinnamonspice | 2018-08-03 03:41 | いろいろ | Comments(0)