人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ビスケットの缶

本の中の世界

本の中の世界_c0033994_729555.jpg
週末出かけたカフェの部屋。
朝の光が満ちてすてきな空間でした。

子供を育てることは、私の中に無かったものや知らなかった新しい世界を補うことを、親の私が学んでいるのだと思う。
新しい世界は男の子を授かって知った、キャンプやアウトドアの楽しみがその一つ。
私の中に無かったものは読書について。
小さいころ、親に古本屋で本を好きなだけ買っていいと言われて、山のように本を選んで買ってもらったときの胸が躍るような気持ち。
新品の本のにおいや、ページをめくるぴんと張った紙の感触と音。
私も姉も小さいころから本が好きだったから本が好きなことが当たり前だった。
私たち兄弟が小さいころに母にしてもらったように、私も小人たちが2歳くらいから毎晩、絵本の読み聞かせを欠かさずしてきた。
ある程度の年(5,6歳)になったら、自分で読むようになると思っていた。
でも、小人たちは小さいころからあまり本を読むことに興味を示さなかった。
本が一冊あれば、待ち時間も困らないし、ページを開けばそこから旅ができる。
(私は毎日の小人のスイミングクラスに本を一冊バッグに忍ばせている。)
そう話して心を押しても押しても人は好きなことにしか動かない。
そんな小人たちに、今でも毎晩本を読み聞かせている。
本の中の世界は楽しいんだということが伝わるように。

最近は小さいころ私が夢中になって読んだ実家から持ってきたナルニア物語のシリーズを読み聞かせていた。
「ライオンと魔女」、「カスピアン王子のつのぶえ」、「朝びらき丸東の海へ」。
この本を読んだとき、3人兄弟の末っ子の私は、ペペンシー兄弟の末っ子のルーシィに共感した。(一番小さいルーシィが誰よりもアスランとも心通わせることもうれしかった。)
同じ本の中で、小人は誰に感情移入をしているのだろう。
小人は毎晩の読み聞かせを楽しみにしていて、私が読むのを一生懸命聞いている。
ドキドキするシーンでは、ベッドから息を呑む音や悲鳴、楽しいシーンでは歓声をあげたり笑ったりする声が聞こえてくる。
毎日一章と決めて、
「今日は、ここまで。」
と言って本を閉じると、
「えぇーっ、もうおしまい?短いよ。」
と、いつも小人が必ず言う。
「続きが読みたかったら、自分で読みなさい。」
と、私はいたずらに笑う。時にはしぶしぶ小人が自分で読むことも。
ナルニア国物語シリーズは、自分と同じくらいの年の子供たちの冒険に小人も一緒になって楽しんでくれた。
せっかくだから、実家に眠ったままの残りのシリーズは、この夏、日本へ帰ったときに持って帰ってこようと思う。

今は「ドリトル先生」シリーズを読み始めている。
読みながら、私自身も小さいころの自分と重なるような感覚になる。
白黒のページから、色があふれてくるような不思議な感覚。

小人10歳、弟小人8歳。
もしかしたら、私が読んでくれるというのが小人たちの甘えになっているのかもしれない。
それはそれでいいと思う。
甘えらえるときは永遠にはないのだから。
小人たちがいつか自分で手に取る日まで、いつまででも読み続けようと思う。
本の中の世界_c0033994_7285094.jpg

by cinnamonspice | 2015-02-03 07:33 | こども