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ビスケットの缶

はてしない物語

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暑い日が続いたのでおやつにコーヒーゼリーを作りました。

 おやすみの本に小人たちと『モモ』を読み終えて、今は『はてしない物語』を読んでいる。私も小学生か中学生のころに読んだように思うけれど、すっかり忘れてしまっているので、小人たちに読み聞かせながら本の中のひとつひとつの出来事が新鮮に感じる。思い出すのは当時は、「虚無」の存在を理解するのが難しかったということだ。
 物語はこんな風に始まる。10歳のバスチアンという少年(小人と同い年!)は、いじめっ子の友達から逃げ込んだ古本屋で、気難しい店主と出会う。店主から逃げ込んできた理由を聞かれて話すうち、バスチアン少年はスポーツもできないし、弱虫で、臆病のいじめられっ子で、頭もよくないし、店主から全然取り得がないと言われてしまう。(ここで思わず小人たちと笑ってしまったが、よりいっそうバスチアン少年に共感した。)しかも、彼はお母さんを亡くし、それ以来お父さんの心も失くしてしまっていた。その彼が店主が読んでいた『はてしない物語』の本に心から惹かれ、ついに盗んでしまう。そして、こっそり読み始めた本の中のファンタージエンという国では、その国のお姫様の不可解な病気と『虚無』という現象に、バスチアンと同じ10歳くらいのアトレーユという少年が勇士として選ばれ旅を始める。
 そして、今日読んだのはアトレーユが『憂いの沼』を旅するところだった。アトレーユはここで愛馬アルタクスと悲しい別れをする。(読みながら、私も思わず目頭が熱くなる。小人は枕に顔を伏せていた。)その後、アトレーユは一人でモーラというおじいさんカメに出会う。このモーラが私はとても興味深かった。ずっと一人きりのあまり自分に向かって、「ばあさんや、」と話しかけるモーラ。(モーラの台詞は思い切りおじいさん声で読む。)
「どうして死んではいかんのかね?」
「何もかも、環になってぐるぐるめぐっておる。」
生きることも死ぬことも同じ、どうでもいいこと、と話すモーラの言葉は深い。小人はモーラが自分に「ばあさんや、どう思う?」と相談するところや、きまぐれなおじいさんぶりが面白いらしく、くすくす笑っていたけれど、年を重ねた私は『生』をもとめる少年や彼の正義感も、モーラの枯れた気持ちも、どちらの気持ちもわかるように思えて二人の会話にしみじみとした。
by cinnamonspice | 2014-07-15 15:59 |