小舟のほとりで
「ママ、シマウマの赤ちゃんって何色なの?」
ある日の小人の疑問。
ベッドの中で、みんなの寝息を聞きながら、久しぶりにサリンジャーの「ナイン・ストーリーズ」を読んでいました。本の目次の上に付けられた鉛筆で書かれた小さな○の印。昔、だんなさまと結婚する前に私がだんなさまに本を貸したとき、自分が好きな話につけたものでした。そのしるしに導かれて、「小舟のほとりで」というお話から読み始めました。何度読んでも胸が締め付けられるような気持ちになるすてきな話。男の子のママになったからなさらそう感じるのかもしれません。4歳のライオネルとママの会話の手拭きガラスのように繊細で美しい世界に、目の奥が熱くなりました。そのままその世界が壊れないようまぶたのなかにしまって眠りました。くすぐったいような幸福感とともに。
by cinnamonspice
| 2010-07-10 13:34
| 本