雨雲の行方
Road Endという名前の場所。
ここで車の道は終わり、トレイルが始まる。
時間がなくて今回は行けなかったけど、今度はこの先のトレイルも行ってみたい。
毎日の暮らしの中で、ぼーっと何もしない時間をもつのは難しい。
目を閉じてじっとしてみても雨のように日々の出来事が降ってきて、押しつぶされそうになる。
自然の中に行くと、その雨がからりと上がる。
沈黙を守る倒木、とうとうと流れる清流、鳥の声、木々からこぼれる日の光に身を置いていると、今世界で起こっている出来事が遠い惑星の出来事のように思えてくる。
私たちは何を争って何に怯えて、何を脅して、何を競い合っていたんだろう。
見上げると、頭の上にのっていた雨雲はどこかへいなくなっている。
くねくねと曲がる山道を車で走っていると、ネイティブアメリカンに思いをはせる。
弟くんのテキストブックに載っていたスペイン人に追われ山へ逃げたインディアンの部族の話を思い出した。
冬がはじまろうとした季節に、馬に乗ったスペイン人の兵隊たちが鉄砲をもって村へやってくる。
主人公の女の子たちの部族ははだしで山へ逃げる。
持てるだけの食料をもって足跡を残さないようにみんなで冷たい川を上っていく。
いつまで続くかわからない逃避生活。山道を何日も歩き続ける。寒いけれど煙が上がって居場所がわかるのでたき火はほとんどつけれず質素な冷たい食事を摂る。
水がなくなると、命がけで男の人たちが川へ水を取りに行く。(川で待ち伏せしている可能性があるから)
途中、命を落とすお年寄りや子供が出てくる。ただ山をさまよって逃げるだけの日々にしびれを切らして矢やナイフでスペイン人と戦おうという若者が出て敵のもとへ飛び込んでいくけれど、つかまってしまう。
数日たって村へ戻ると村はめちゃめちゃに壊されていた。畑も、冬に備えた食糧庫も、二度と戻れないように。
以前知ったThe Donner Partyの悲劇のお話も、Sierra Nevadaが舞台だった。
さまざまな歴史を見つめたSierra Nevadaの山々。
夏のやさしい顔の向こうにそんな歴史の残像を重ねる。
by cinnamonspice
| 2017-08-31 12:37
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