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ビスケットの缶

たのしい川辺

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この1ヶ月ほど、おやすみの本に「たのしい川辺」を読んでいる。
物語の主役は動物たちだ。
川ネズミ、モグラ、アナグマ、ヒキガエル。
人のいいネズミ、思慮深いモグラ、リーダーシップのあるアナグマ、そして高慢でお調子者、お金持ちで世間知らず、でも憎めないヒキガエル。
川辺の美しい四季の景色を見事な描写で綴る物語は、初めお兄ちゃんたちには退屈そうだった。
漫画やアニメに親しんだ彼らには、キースへリングから一変してモネの睡蓮の絵を見るような感覚なのかもしれない。
じっと目を閉じて、想像を膨らませないと川ネズミくんの心地よい川辺のお家も、そこを吹く風も、虫や鳥の声も、モグラくんの小さいけれど居心地の良い家の土の匂いも、感じることはできない。
チューニングを合わせるように、もしくはモネの繊細な水面の光に焦点を合わせるように、話を進めるうちお兄ちゃんたちは物語に溶け込んできた。
はじめは興味なさそうだった2人が、あともう少し、短いよ、と催促するようになった。
雪の中をさまようモグラくんの森の冒険では一緒に身震いをし、アナグマくんの立派な迷路のようなお家にたどり着いた時にはホッとため息が聞こえた。
ネズミくんの心の広さには読みながら目の奥が熱くなる。冷えた体をブランケットのように包み込む、友達って本当にあったかい。
毎晩、心地よい川ネズミくんの家に私たちもお邪魔して、お茶をご馳走になってるような気持ちになる。小さいけれど勇敢で暖かで大きな心の持ち主の動物たちの友情に入れてもらったような気持ちがする。
なかでも、お兄ちゃんも弟もヒキガエルが出てくるシーンになると俄然瞳を輝かせて、鼻息も荒くなる。
ヒキガエルくんがおだてられて調子に乗り始めると、弟くんは耳を塞いで布団にすっぽり潜り込む。
物語は最後のヒキガエル館をイタチとテンから取り返すところにきた。さて、アナグマの作戦はいかに。
あと少し、物語が終わってしまうのがさみしい。

by cinnamonspice | 2016-04-14 11:27