ひだまり
学校内を子供たちとクラスで移動している時、どこからかいつも
「先生」
と女の子が声をかけてきて手を差し伸ばしてくれる。
手をつなぎならが歩いていると、いろんなことを話してくれる。
子供たちの話はいつも始めも終わりもない。
突然やってくる春の風のように、いつもやってきたときには当たり前のようにそこにあって、唐突に大事な部分から始まるのだ。
うっかり受け取りそこなうとその話はもう二度と戻ってこない。
だからそういうときは慎重に、同じ目線になってお話を聞く。
壊れやすい鳥の羽根やシーグラスのように、それをそっと受け止める。
そのときその女の子は楽しそうに家族のイニシャルの話をしていた。
“My dad's initial is J.B.J.D.”
とてもうれしそうにそばかすの顔でにっこり笑った。
「それはすてきな響きね。」
私はなんて答えていいのか悩みながらもそう答えると、女の子は満足そうに笑いながら
“My sister's initial is... , my mom's initial is ... , and my initial is ...”
手をつなぎならが、女の子の家族のイニシャルの話を聞いているのはコールフィールド的な幸せな時間だった。
春の光の下、かわいらしい鳥のさえずりを聞くようにいつまでも聞いていたいような気持ちになった。
by cinnamonspice
| 2016-03-26 09:23
| すきなもの