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ビスケットの缶

ポンペイ展へ

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冬休みの最後に、小人たちとCalifornia Science Centerで開かれているポンペイ展へ出かけた。
以前から、小人が広告を見て興味を持っていたからだった。
広く栄えたイタリアの都市が火山の噴火で一夜にして消滅してしまったというポンペイ。
ミステリアスなその話を間近に感じたくて出かけた。
展示されていたポンペイで発掘された品物は驚きの連続だった。
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今から2000年近い前の人々だけに、もっと原始的な生活を思い抱いていたけれど、精巧に作られた硬貨、フレスコ画、モザイク画、庭を好み、大理石の彫像やタイルなどで飾ったとてもおしゃれな人たちだった。
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キッチンには排水溝があり、公共のお風呂があり、精巧な銀細工や、ガラスの器などもあり、とても文明的な都市だった。
その一方で、相手が死ぬまで戦い続けるAviatorなどの奴隷たちがいて、華やかさと影とがある都市でもあった。
それだけ栄えた都市が一夜で消えてしまう。
でも、それはそれは悪魔のような誰かが息吹をかけるようにして一瞬にして消えたのではなかった。
きちんと予兆はあったということを知って納得だった。
ポンペイが消滅する17年前に火山の活動が活発になったことを知らせるかのような地震があった。
そして、それから17年後の朝、噴火は始まる。それでも、人々は逃げ出さなかったのだろうか。
ポンペイが消滅した日の一日を時間で追った映像を見た。
朝噴火が始まる、そして少しずつその規模は大きくなっていった。
一日をかけて繁栄した大都市は消えた。
それでも、なぜ、そんなに被害が大きくなったのか。
亡くなった人々の死因は、噴石や、火山灰、火山ガス、火山泥、熱風、さまざまだったようだ。
弟小人が
「みんな逃げなかったんだね。」
とつぶやいた。
そのなぜ、はまだわからない。
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ほとんどがコピーだったけれど、おそらく、これは本物だったと思う。

最後に、火山灰の中から発掘された死んだ人々の屍が2000年の年月を経て展示されていた。
ほとんどは復元したものだったのが残念だったが(それだけ繊細なものだったりするのだと思うので仕方がないけれど)、それはとてもすごみや迫力があって目に見えない何かを力強く伝えていた。
折り重なるようにして倒れた人々。子供の遺体、土の塊のようになっているものの、今にも動き出しそうな人々の姿は、2000年という年月を超えて力強く訴えてくるものがあった。
ふと、広島や長崎の原爆のことを思い出した。
2000年近い前にポンペイで起きた出来事は過去の出来事ではない。昨年の御嶽山をはじめ、火山がたくさんある日本にあっては人事とは思えなかった。
いつかポンペイに行ってみたいと思っていたけれど、火山に埋もれた都市というミステリアスでロマンを感じていたような感覚から、もっと生々しくそこで暮らした人々の営みを感じて、少し尻ごみするようなすごみがあった。
by cinnamonspice | 2015-01-07 02:54 | まいにちのこと