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ビスケットの缶

夕焼け小焼け

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 すとん、とあっけないくらい突然に秋がきた。きまぐれな女の子みたいに、突然転がり込んできて、当然のような顔をしている。
 木の枝で木の葉は風にたよりなくゆれ、真っ赤な夕焼けは童謡の「赤とんぼ」の歌そのままに秋そのもの。小人のサッカーの練習に付合っているうちに、夕焼けは夜空に変わり、ぽっかりと月が浮かんでいた。小人たちは、学校で、「紅葉」の歌と「夕焼け小焼け」の歌をそれぞれ習っている。お風呂場から弟小人が鼻歌交じりに歌う「夕焼け小焼け」が聞こえてくる。小さいころ、母と父を迎えに行って、家までの急な坂道を手をつないで「夕焼け小焼けを」歌いながら上ったことを思い出す。あのときの、夕焼け、父のかばんの重み、母の手あれの手のぬくもり。あのころは永遠に続くと想っていた夕焼け空の思い出に思わず目が熱くなる。秋の歌は、日本人の心の琴線に触れるのかもしれない。秋は日本のことを想う。
by cinnamonspice | 2014-10-16 02:16 | 今日のおやつ