ビスケットの缶

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 空港の到着ロビーででだんなさまのお母さんを見つけたとき、緊張の糸がするすると解けていきました。何年たっても、アメリカでの生活では、見えない鎧を身に着けているのかもしれません。

 車の窓から見える二年ぶりの日本。迫るように建つビル、なにもかもをコンパクトにまとめたジオラマのような世界は、帰るたびに別の星に来たような気持ちになります。目が慣れるまでのほんの二日間ほどの期間限定の双眼鏡で覗く景色を見つめていました。
 二年という月日はあっという間に過ぎていたけれど、変わりゆく育った町の景色に、ひとまわり大きくなった小人たちの一方で、老いていく両親のことを思い大きな月日の積み重ねを感じました。

 この一年、入院を繰り返し、心臓も弱った父。
 「短いけどなぁ。もう少し長くいられたらいいんだけどな、仕方ないなぁ。」
アメリカを出る前日電話で話した父の声が耳の奥でこだましていました。小学生のころ見た、惑星についての図鑑の年老いた惑星と生まれたばかりの惑星ことを思い出しました。親孝行というのはおこがましいのかもしれないけれど、命の光を放つ生まれたばかりの惑星のような小人たちの存在が、両親という惑星をそっと照らしてくれたらと思います。
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by cinnamonspice | 2013-07-03 04:22 | まいにちのこと