ビスケットの缶

卵焼き

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この時期恒例の口内炎が舌に二つできました。
リンパ腺のあたりがぴりぴりして、増えそうな気配に慌ててビタミン剤と水分補給で応戦しています。
こういうときは、コーヒーがおいしく感じないので、紅茶を。
甘い紅茶が体に染み渡ります。

 朝、お弁当に卵焼きを作っていたら、うっかりおしょうゆを多く入れてしまいました。ほんのりブラウンがかった卵焼き、フライパンからほんのり香る卵とおしょうゆのにおいをかいでいたら、ふと、父の卵焼きのことを思い出しました。
お料理をほとんどしない父が、唯一週末にたまに
「食べるか?」
と言って作るのはキャベツ炒めとお砂糖とおしょうゆが入った甘辛いいり卵でした。出来上がったばかりの湯気があがっているのをふうふう、誰よりもうれしそうにご飯に乗っけて食べていたっけ。母が作る厚焼き卵の、おしょうゆはおまじない程度に入れるだけのほんのりだしがきいた甘い甘い卵焼きとは違って、父のはおかずっぽい卵焼きなのでした。当時はまだタバコを吸っていた父の卵焼きは、ほんのりタバコのにおいがしました。
 私が中学生のころ、ある日、夕方に兄が、
「卵焼き食べる?」
と、言いました。父と同じく、料理と言ったらカップラーメンを作っているところしか見たことのなかった兄の言葉に驚いていると、兄はニヤニヤ秘密めいた笑みを浮かべながら、手馴れた様子で厚焼き玉子を作ってくれました。時々おなかがすくと作るのだと、そのとき教えてくれました。
「これがおいしいんだよ。」
と、差し出した湯気が立ち上るお皿の上の卵焼きからは父と同じ卵焼きのにおいがしました。お砂糖とおしょうゆが入った甘辛い卵焼きでした。
 二つの卵焼きのことを思い出したら、ふいに目の奥が熱くなりました。
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by cinnamonspice | 2013-01-15 16:43 | まいにちのこと