ビスケットの缶

旅の終わり

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 コンドミニアムのラナイでランチをしていたときでした。穏やかな青い海にひときわ大きい水しぶきがたつのがみえました。
「クジラの潮吹き?」
だんなさまと同時に目が会いました。しばらくすると、またひとつ。白い水しぶきがたって、青の中に消えるまでに数秒かかるくらい大きなものでした。それはまるで、音のない花火を見ているようでした。またしばらくすると、今度は水しぶきとともに黒い体がふたつ水面から滑らかに浮かんで消えていきました。船くらいの大きさのある生き物が泳ぐ様子を、小人も私たちも息を呑んで海を見つめていました。最後にただ一度だけ、大きな尾びれが空をキックするところも見ることができました。音もなく、ゆったりとしたくじらの動きは、力強く雄大で、胸が熱くなりました。とても静かな午後、思いがけず遭遇したクジラたちとの時間はマウイ島から贈り物のように感じました。

 海ガメが泳ぎ、クジラが暮らす海。すぐそこに彼らの気配を感じて、不思議と心強いような気持ちになりました。私たちが目にする海にはそうした生き物が住んでいるということ。当たり前のことなのに、目の当たりにして胸が大きく揺さぶられるような感動がありました。私たちは本当に小さな生き物なんだということ。クジラやウミガメたちの住む海や自然という大きな家に一緒に暮らしているのだ思ったらあたたかい気持ちになりました。

 今回の旅では、iPadのGPSに何度も振り回されました。行きの宿泊先のコンドミニアムまでの道のりも、沿岸沿いの路肩のない断崖絶壁(でもとても絶景でした)に這うように作られたローカルの道へと導かれ、予定より時間がかかって到着となりました。帰りハレアカラ山の途中にあるKulaという山間にある町を訪ねたときも、なぜか山へ向かうはずなのに、海岸線を通ってついには溶岩道のみ広がる不思議な世界へと導かれ、道がなくなるということがありました。私たちが持っているものは、自然を前にそんなに頼りになるものではないのだと教えられるようでした。その一方で、導かれるようにたどり着いた景色は、断崖絶壁に立つ野生の馬や、荒々しく打ち寄せる波と深い緑のコントラスト、黒い溶岩の地で海鳥が巣を作る岩場、大小の赤い溶岩石が一面にごろごろ転がる不思議な景色、ハレアカラに向かう途中のKulaのあたりのひんやり冷たい緑豊かな景色。いろいろなマウイの景色に出会うことができました。
 旅もいよいよおしまい。旅で胸にしまった景色とともに、また新しい日々のスタートです。
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コーラルのようなプルメリアの木。

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by cinnamonspice | 2012-04-12 08:40 | まいにちのこと | Comments(19)
Commented by ori-style at 2012-04-13 02:04
cinnamonさん、こんにちは。
ハワイでの様子、一緒に旅に連れて行ってもらったような気分で、
楽しませて頂きました。
まだまだ新たな素晴らしい場所が、この世の中にはたくさんある事、
知らない事や、見た事ないもの、味わったことのない気持ちや思い、
旅を通して、いろんな経験ができますね。
きっと小人君たちもまた一つ大きくなって帰ってきた事だと思います。

ハワイは、美味しい空気や目の前の大自然もが心をスッキリ満たしてくれるのですね。
そんな空間、もしかしたらまだ味わった事がないかも・・・・と、cinnamonさんの旅レポをドキドキしながら読ませて頂いてました。
暮らしの中に自然がいっぱいあると、心も大きくゆったりといられそうですね。
自然の偉大さ、大切さ、より感じる事ができました。
私もそんな暮らし(経験)をしてみたいなぁ。。。
今すぐにハワイへ行きたくなりました(笑)
素敵な写真に、たくさん癒され楽しませて頂き、パワーも頂きました。
Commented by miholife at 2012-04-13 20:54
*cinnamonさん、こんばんは^^*
ご結婚10周年おめでとうございます*
南の島での記念旅行、とっても素敵です。
憧れの眼差しで読ませて頂きましたよ^^。
cinnamonさんの日記からマウイの大きな自然を感じるコトができました。
クジラやウミガメとの偶然の出会いにわたしもドキドキしてしまいました。
そして、あたたかな気持ちも感じるコトができました。
わたしの日々の小さな悩みごとが、なんだか小~さく思えました。
cinnamonさん家族の新しい日々の日記をこれからも楽しみにしてますよ~♪
Commented by annebm at 2012-04-16 19:38 x
小人くん、大丈夫ですか。。?入院とは、心配です。
1日でも早くまた元気になって、退院できますように。
お祈りしています。
このコメントのお返事は気にしないでくださいね。
cinnamonさんと旦那様もお疲れでしょうから、どうぞご自愛ください。
Commented by cinnamonspice at 2012-04-22 13:18
+ori-styleさん+
oriさん、こんにちは。
コメント、ありがとうございます。ご返事が遅くなりすみません。
マウイの旅は、豊かな自然に包まれてとてものんびりとした時間をすごすことができました。海の青や鮮やかなCardinalという鳥の赤や、木々の緑、色とりどりの熱帯魚、花、豊かな色彩にも楽しませてもらいました。波の音、鳥のさえずり、波間を漂うようなフラの音色、人間の私たちも動物に還るそういう感覚が心地いいのかもしれません。小人たちはひたすらビーチに、子供も大きな自然があったらおもちゃもいらないのですね。インドアな私たちは子供を持つことがなかったら知ることのなかった世界の扉を開けてもらったような気がします。ハワイの魔法と聞いていたけれど、心もたっぷり栄養をもらってきました。旅は心をリセットしてくれますね。
Commented at 2012-04-22 21:57 x
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Commented at 2012-04-22 22:38 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by cinnamonspice at 2012-04-23 14:02
+miholifeさん+
mihoさん、こんにちは。
ご返事が遅くなってすみません。コメントありがとうございます。
今回の南の島への旅は、“何もしない(リラクゼーション)”をテーマに出かけた旅でした。
マウイのゆっくりとした時間の流れに身を置いて南国の鮮やかな自然の色、音に癒されてきました。
mihoさんのおっしゃるとおり、大きな自然を前にすると、日々の出来事が小さく思えて心が大きく広がるような気がしました。
コンドミニアムで自分たちの時間で好きなようにすごした今回のたびは、ホテルでの旅とまた違った魅力があって新しい発見でした。
少しずつ、自分たちの旅のスタイルも見つけることができたような気がしました。
心もすっきり、やはり旅はいいですね。また旅に出かけたくなりました。ふふふ。
Commented by cinnamonspice at 2012-04-23 14:11
+annebmさん+
あつこさん、こんにちは。
あたたかなメッセージ、ありがとうございます。
長く感じた入院生活でしたが、やっと退院の日を迎えることができました。今は家族四人、なにげない日々のありがたみをかみ締めています。
 人生はいつ何が起こるかわからないものですね。泣いて笑って、だから人は生きれるのかもしれませんね。
Commented by cinnamonspice at 2012-04-23 14:28
+鍵コメントat 2012-04-22 21:57さま+
こんにちは。
心温まるメッセージを寄せていただきありがとうございます。
おかげさまで、退院の日を迎えることができました。
鍵さんをはじめ、支えてくださったみなさんに、心から感謝の気持ちでいっぱいです。
 久しぶりに家に戻った今は、アリスやかいじゅうたちのいるところのMaxのように、小人とともに別の世界へ旅をしてきたような、現実の世界の空気にまだなじめずにいます。それだけ今回の入院は、とてもいろんなことを考え学ぶ機会になったからなのだと思います。悲しみの分だけ人の痛みを知ってやさしくなれるのかもしれませんね。そう思うと、悲しみはたからものなのだと思います。今も、嵐の残したものたちを拾いながら、しみじみといろんなことを感じます。
 今回の入院で、小人は新たにいろいろなアレルギーや喘息などがあることがわかりました。それも入院したおかげで知ることができたとよかったと思っています。
 息子さんはいかがおすごしですか。ずいぶん大きくなられたのでしょうね。またお話させてくださいね。
Commented at 2012-04-24 01:07 x
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Commented by cinnamonspice at 2012-04-24 01:20
+鍵コメントat 2012-04-22 22:38さま+
こんにちは。
あたたかな言葉をいただき、ありがとうございます。
 二人目のお子さんのご出産、おめでとうございます。姉妹という大きな味方、とても心強いですね。同性同士、どんなときも分かち合える一生を通じたいいお友達になるのだと思います。兄弟姉妹は、親が残せる何よりの財産ですね。
 母親は子供を持つと強くなるというけれど、わが子の命の明かりが揺らぐとき、ただただ泣くことしかできない無力さを感じました。その一方で、子供を守るためなら、何でもできるという自分の中の母親としての本能を感じました。そう思うと、やっぱりお母さんは強いのかもしれませんね。
 泣いて笑って、生きることはそういうことなのでしょうね。なにげない日々に感謝です。
Commented at 2012-04-24 03:41
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Commented by cinnamonspice at 2012-04-24 05:14
+鍵コメントat 2012-04-24 01:07さま+
こんにちは。
コメントありがとうございます。鍵さんはいかがおすごしですか。

 小人の入院は、こんなことが起こるとは想像もつかなくて、起こっている現実についていくことができず、呆然とした9日間でした。意識が朦朧とする小人の隣ですごした時間は、今まで生きてきた中で、一番怖い体験でした。
 週末、おかげさまで小人は無事退院をすることができました。ご心配、ありがとうございました。みんなの気持ちに支えられて、迎えた退院だと思います。本当にありがたく思います。今は家族4人ですごせることに感謝したいと思います。
Commented at 2012-04-24 05:19
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Commented by cinnamonspice at 2012-04-24 05:22
+鍵コメントat 2012-04-24 03:41さま+
こんにちは。
あたたかなコメントを寄せていただきありがとうございます。
大切な人が苦しむのを見ているしかできないというのは、本当に辛いですね。息もできない小人の隣で、なすすべもなくすごした時間は、今まで生きてきた中で、一番怖い体験でした。
 本当に、身の回りだけでなく、「ビスケットの缶」を通じて、たくさんの人の思いに支えられたおかげで、小人が元気になり退院する日を迎えることができました。今回の入院のおかげで、改めてみなさんのあたたかな気持ちに触れることができて、みなさんとの出会いに心から感謝の気持ちでいっぱいです。
 記念日にもあたたかなメッセージをありがとうございました。いたずらな春の陽気に、上がったり下がったりの気温ですが、鍵さんもどうかお体を大切にされてくださいね。
Commented at 2012-04-24 05:23
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Commented by cinnamonspice at 2012-04-24 05:33
+鍵コメントat 2012-04-24 05:19さま+
こんにちは。
あたたかい言葉を寄せていただきありがとうございます。
鍵さんのおうちでも少し前に、息子さんが体調を崩されてとても辛い時期があったのですよね。伺うたびに、休む間もなく次次と押し寄せる波に、記事を拝見するたびに胸を痛めていました。その後、息子さんの体調はいかがですか。鍵さん(もご入院されたのですよね。)ご自身のお体のほうも心配です。
 子供の病気は本当に辛いですね。苦しむ隣で、そばにいて何もしてあげられないことほど、親として悲しいことはないと思いました。母親になると強くなるというけれど、肝心なときには泣いてばかりのだめな母親でした。
 でも、嵐が去った今、悲しい経験は人を豊かにしてくれるのだと信じています。人は苦しいときこそ、人の痛みややさしさがよく見えるものなのかもしれませんね。いろんな人、ものに感謝する気持ちでいっぱいです。感謝するものがたくさんあるということは、幸せなことなのだと思います。
 あたたかなコメントをありがとうございました。鍵さんもどうかお体を大切にされてくださいね。近い空の下、私こそ、できることがあったらおっしゃってくださいね。
Commented by lulu_ruru at 2012-04-26 10:01
ハワイの素敵な思い出を楽しく拝見して、翌日あらためてコメントをしようと思っていたら小人くんが入院したと知ってびっくりしました。
心の中で考えていたワクワクしたコメントも一気に吹き飛び、心配の波が押し寄せてきた感じでした。
無事に退院ができて本当に良かったです。乗り越えた小人くんもそれを支えたcinnamonspiceさんやご家族、病院関係の方々、みんなの頑張りがあってこそですよね。
お母様もお義母さまも素敵な方ですね。小人くんはちっとも弱くないですよ、むしろその辺の子よりもずっとずっと強い心を持っていると思います。

あ、言い忘れてました、結婚10周年おめでとうございます。
Commented by cinnamonspice at 2012-04-27 03:49
+lulu_ruruさん+
こんにちは。
あたたかな言葉をいただきありがとうございます。
ハワイの旅から帰って、ひと息ついたときに起きた小人の入院。長い9日間でした。でも、この入院のおかげで、感謝することをたくさん見つけることができたことを、ありがたいと思っています。本当にたくさんの人に支えられているということを感じました。
 子供は希望の光。母の言葉を思い出しました。その光に向って、母としてもっともっと強くならなければと思います。
 記念日にもメッセージをいただきありがとうございます。10年という節目を迎えて、改めて家族の絆を感じます。