ビスケットの缶

パートナー

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サンフランシスコの帰りに寄ったステーキハウスのいろんな古い農場の道具たちが飾られた店内。

朝、だんなさまがコーヒーを淹れながら、
「サンフランシスコに行ったのも3月だったんだね。」
とこぼしたつぶやきに、サンフランシスコで訪ねたお料理にまつわるビンテージの雑貨を扱うお店のことを思い出しました。
 いくつも古いキッチンツールコラージュされたアート作品ののように並んだドアが、看板を見つけるよりも先に目に入って、秘密の小部屋に入るようにわくわく胸が躍りました。薄暗い店内に入ると、足元いっぱいに古いケーキの型やボウル、ミルクガラスのケーキスタンドに陶器のカップなどが、ずうっと昔からその場所を占めていたようなたたずまいで高く積み重ねられていました。手を触れたらすべてが一瞬で壊れてしまいそうで、触るのがためらわれました。障害物競走のように足元手元に気をつけながら薄暗い店内を進むと、カウンターでお店番をしていたのはシルバーの髪が美しいおばあちゃんでした。そして、おばあちゃんに向き合うように通路で毛の長いグレーの犬が寝そべっていました。静かな店内で、時折その犬がキュン、キュンと、切なくなるような高い声で鼻を鳴らすと、おばあさんが「I know. I love you, sweetie.」と、やさしく声をかけ、そのおばあさんの声に、またクィーン、クィーンと節をつけて答える犬。ずっと二人の甘い会話が続いていました。おばあさんが、まるで意地悪な魔法使いに犬の姿に変えられてしまったかつてのおじいさんと話をするかのような甘いやりとりは、とても甘くいつまでも胸の中に響きました。これからもずっと一緒に店番をしていくのかな。ぼんやりと目に浮かんだおばあさんと犬がいたあのお店の存在自体が、今では魔法のようにも思えます。
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by cinnamonspice | 2010-06-01 13:32 | まいにちのこと