ビスケットの缶

ポケットの中の景色

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夏の計画はたてていますか。
今年の夏は小人たちとどこか自然の豊かな場所へ行きたいな。

サンフランシスコへ向かう車で6時間の旅の途中、たくさんの牛たちを見かけました。私たちが走る道を挟んで右側には車内にいても彼らが発する逃れられない猛烈な匂いを感じるくらい、これまで見たことがない数の茶色い牛たちがぎゅうぎゅうにおしくらまんじゅうしているような牧場と、道を隔てた反対側には、小さな川が流れるなか、ちらほらと花が咲く起伏のある緑の牧草地を自由に移動しながら草を食む牛たちがぽつりぽつりと見えました。。「自分が牛だったら、できることならのんびりと草を食む牛のほうになりたいね。」お互いそれぞれの世界のことは一生知ることはないのかもしれないけれど、一本の道を隔ててまったく違う世界がありました。
 帰りは日が傾いていくのを追いかけるように同じ道を車を走らせました。またあの牛たちが緑の斜面を移動しながら草を食んでいるのが見えました。日が暮れるころには誰かが彼らを追いにくるのかな、それとも牛たちの誰かが「そろそろ、家に帰ろう。」と、みんなで家路につくのかな。そう思ってみていたけれど、誰もやってくる気配はなく、牛たちはいつまでものんびりと草を食みながら、とっぷりと闇の中に見えなくなっていきました。
 ぎゅうぎゅうに暮らす牛たちとのんびりと牧草地で暮らす牛たちの違いは肉牛と乳牛の違いなのか、それとも飼い主の違いなのかわからないけれど、厩舎の中でぎゅうぎゅうに暮らす牛たちは、なんだか都会で暮らす私たちのようにも映りました。せめて心の中だけでも、花や草を食んでいる牛のように暮らせたらいいな。
 サンフランシスコへの旅、飛行機でぴゅーっと行ってしまったら出会えなかった景色に出会えました。牛たち以外に何もない道をずっと走るなか、起伏のある緑の牧草地をお日さまと雲が追いかけっこするように、雲が落とす影がすぅーっと駆け抜ける様子もとても気持ちのいい景色でした。行った先もいいけれど、途中の景色もポケットに入れて帰る、私はそんな旅をしていきたいな。
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by cinnamonspice | 2010-05-07 10:53 | まいにちのこと