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ビスケットの缶

おにぎりを握りながら

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 弟小人を出産したとき、無性に食べたくなったのはおにぎりでした。
塩が効いたごはんとふわんと香る海苔の香り。中身は鮭のシンプルなものがいいな。機械で作られて売られているものではなくて、誰かがむすんでくれたおにぎり。炊きたてのごはんにパリッといい音のする海苔。そんなおにぎりをほお張れたらどんなに幸せだろう。出産したばかりというのに、そのとき頭の中にはおにぎりのことばかりありました。LAの地で、そうしたおにぎりは簡単に手に入らないし、翌日、無事出産を終えた疲れで眠い目をこすりながら病院に来た我が家の男性二人に、頼むこともできませんでした。
 でもそのとき、お友達が差し入れしてくれたメロンはとても甘くてジューシーで、体のすみずみにしみこんでいくようで涙が出そうになったっけ。たくさんいただいたのに、その日のうちに全部食べてしまって自分でもびっくりするほど、でも本当においしかった。
 話はおにぎりに戻るけれど、主婦になって、私がおにぎりを作るようになって8年。でも、どうも私が握るおにぎりは太っちょでちんちくりんの不恰好。母が作っていたお雛様のように海苔の着物をまとっているけれど、その姿は母のものとは違って、はじけそうな着物に窮屈そうにころりんと収まっているんだよなぁ。おにぎりはその人を表すのかもしれない、そんな風にも思えてきます。出産したとき食べられなかったおにぎり。そのとき感じたおにぎりは日本人のソウルフードということ、私のちんちくりんのおにぎりのこと、そんなことをつらつらと思いながら、今日もまたおにぎりを握るのでした。そしてこれからも、ずっと。
by cinnamonspice | 2009-05-14 12:10 | たべもの